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[ジャンクで手に入れたクールピクス900。出会いから故障、修理完了までのてん末記]
 ■ 目次

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クールピクス900と出会うトップへ

小雪のちらつく真冬1月22日新潟出張中のこと、昼食帰りに西新発田ハードオフに寄ってみた。と、言うのは、2ヶ月程前初めて入ったこの店に中古カメラが置いてあったのを思い出し、何か掘り出しは無いかとジャンクボックスを覗いて見たわけである。そして¥2100の値札を貼られて放り込まれているクールピクス900を発見した。

CoolPixE9002100円で手に入れたクールピクス900 上部液晶パネルクールピクス900の上部液晶パネル

実は、この時クールピクス900の正体については全く知らなかった。インタネットで調べ、7年前1998年春に発売された定価11万円、130万画素ニコン初の本格的な正統派デジカメであると、はじめてその素性を知ったわけである。

デジカメ技術の進歩は著しく今やケータイも200万画素を超える時代になり、半年後に発売された「クールピクス910」と同様、当時おそらく8万円以上はしただろうハイアマやプロ向け高級デジカメがジャンクとは言え僅か2100円。価値の下落には涙するものがある。

現に私もボーナスをはたいて15万円強で手に入れたニコンD70レンズキットがいまや競争機種に押されてか10万円チョットの値段になり、たった半年で3割もの下落には、世の趨勢は如何ともしがたいとは言え、心中穏やかならざるものがある。

ジャンクカメラを買うのは今回が初めて。動くのを期待したわけではないが、お店に無理をお願いしてバッテリーを入れて貰いスイッチをいれると、上部表示パネルにちゃんと表示がでる。しかし動作確認はここまで、どうもジャンク品の動作確認はご法度らしく店員さんはさっさとバッテリーを抜いてしまった。早速購入したが、「ジャンク品なので故障などで動かなくても当店は一切責任を取らないことをご承知の上ご購入下さい。」と念を押されてしまった。

帰りがけ車の中で単3電池4本を入れて再びスイッチオン。すると、液晶モニターに画像が映り、カメラの向きを変えると画像もそれにつれて変っている。どうやらちゃんと動くカメラを手に入れたようだ。

少し興奮気味になり、仕事の合間にコンパクトフラッシュを同僚から借りて入れてみると、残り42枚の表示。シャッターを押すと暗かったせいかフラッシュが光り(フラッシュの動作確認までできてしまった)レンズ背面の緑色のLEDが点滅し、モニター上の砂時計が消えると残り撮影枚数の数字が1枚減っている。

2枚程写して、コンパクトフラッシュを抜き出しノートパソコンへ接続すると、JPGファイルが2個ある。ニコンビューに送ってみると、おもわず声をあげてしまった。「オー写っている」。やった!、どうやら完動品を当てたようだ。

ところで、7年前の130万画素カメラはひょっとすると今の800万画素カメラ位の技術レベルだったかも知れないなどとかってに考えたりして、130万画素とはいえ、2100円なら、これは良い買い物をしたと少し嬉しい。カメラ本体にも液晶モニターにも傷は無く綺麗なのは前の所有者が大切に使っていたのだろう。さあ、自前のカードを買って明日は試し撮りをしなくては。

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クールピクス900は電池喰いかトップへ

ところで、古いデジカメは電池喰らいとの噂が多い。まさに、最初にいれたアルカリ電池は合計でたった1時間程、撮影枚数12枚であっと言う間に逝ってしまった。カメラが電気喰らいなのだろうか。それとも取扱説明書なしで液晶モニターをみながら、あれこれとメニューをいじくりまわしていた時間が長すぎて電池を消耗させたのだろうか。

充電器充電器とニッケル水素電池4本

いづれにせよアルカリ電池は4本でおよそ400円。手軽にカシャカシャと撮れるのがデジカメの良いところだが、これでは電池代だけで早晩破産しかねない。せっかくのE900もお蔵入りとなる運命が待っている。もっと長持ちする電池はないかとインタネットを探し、ニコンのカスタマーサービスを覗いて、ニッケル水素電池のような内部抵抗の少ない電池がデジカメには良いらしいとの情報を知った。

早速リチャージャブルニッケル水素電池4本が付いた充電器を購入した。銘柄はシャープ「N-MR57S-Y」。値段は4480円もしたが、4~500回は繰り返し充電して使えるらしい。アルカリ電池代なら充電11回で元がとれ、後は丸儲けになるはずだ。

●満充電で撮影出来る枚数

ニッケル水素バッテリー満充電から何枚撮影できるだろうか。そこで、購入したばかりのニッケル水素電池がどれ程もつか早速テストしてみた。せめて64MBのコンパクトフラッシュカードがFINEモードで満杯になる100枚位はもってほしいものだ。

初めての充電はおよそ4時間で完了。さて、E900は中古機でもあり、無理なテストは禁物。壊してしまっては元も子もなくしてしまう。そこでのんびりと毎日10枚から20枚程度撮影して様子を見ることにした。

どうせ直ぐに電池の目盛りが減り、撮影出来なくなるだろうとたかをくくっていたがどうしてどうしてなかなか減らない。しびれを切らして最後の方は、かしゃかしゃとシャッターを切り、電池消耗テストを加速した。

テスト条件は次の通り。

撮影枚数の記録は次の通りとなった。

日付 撮影枚数 累計枚数 備考
1月24日 10枚 10枚 目盛りはフルを表示
1月25日 18枚 28枚 目盛りはフルを表示
1月26日 14枚 42枚 目盛りはフルを表示
1月27日 17枚 58枚 まだ目盛りはフルの表示
1月28日 60枚 118枚 まだ目盛りはフルの表示
1月29日 34枚 152枚 まだ目盛りはフルの表示、ニッケル水素電池は良くもつ
1月30日 30枚 182枚 ついに残容量目盛が減り始め182枚でシャッターが切れなくなった。

充電式ニッケル水素電池は結構長持ちする嬉しい結果となりコンパクトフラッシュの容量は、FINEで約190以上枚記録できる128MBコンパクトフラッシュを購入したのも正解との結果となった。

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128Mコンパクトフラッシュとクールピクス900の相性は??トップへ

話は戻るが、クールピクスを手に入れた翌1月23日は日曜日、ヨドバシでSanDiskコンパクトフラッシュSDCFB128MBと充電器付き単3ニッケル水素電池4本をポイントで購入。早速カードをE900に入れる。すると、ちゃんとカードを認識している。残り撮影枚数はファインで196枚。E900発売当時、コンパクトフラッシュの正規品はニコンブランドで最大容量は48MBだった。128MBは今でこそ小容量だが、当時は存在しなかった大容量なので、認識しないかもと危ぶんでいただけにOKとは嬉しい。

カードがありませんカードを抜いてスイッチON。「カードが無い」と表示するが無事起動完了したE900

しかし、一度スイッチを切って入れ直すと、あれれれれぇ?? 上部液晶パネルに表示がでない。あわてて数回スイッチを入り切りしても表示もでないし反応もない。どうなってしまったのだろうか。うーん。ハードオフにあった完動品のCoolPix910は1万円以上の値が付いていたし、これは やっぱり、ジャンクなのだろうか。

ひょっとしたら「ハング」しているだけかもしれない、と思い直す。「ハングした時は電池を入れ直すとリセットされて正常に戻る」と、どこかにかいてあったような。電池蓋を開け、電池を入れ直して、スイッチを入れ直したが、いくら待っても表示がでない。やっぱり壊れたのだろうか。

カードを抜いたらどうなるだろうか、アイデアが頭をかすめる。カード入れの蓋をあけ、「上手く行くのだろうか、だめかも知れない」などと自問自答しつつ、カードを取り出す。電源を入れ直して表示部をじっと見る。良かった。表示はでるし、液晶モニターには「カードが入っていません」に重なってちゃんと画像も写っている。

胸をなで下ろしながら、ハングの原因を確かめねばと試行錯誤を繰り返した。そして判ったこと。

こんな面倒くさい手順が必要なのは、どうもスイッチオン時にカードを上手く認識出来ないためのようだ。カードなしで起動が終りさえすれば何のことはない、起動時にハングするカードでも問題なく撮影ができる。カード容量が128MBでカメラ発売当時には存在しなかった大容量なのが原因だと思い込み、ひたすらこの手順で使っていた。ただ、間違ってカードを入れたままスイッチをいれると、ハングして電池抜き出しとなり、日付が発売年の元旦「1998年01月01日」に戻ってしまうのはなんとも耐え難たかった。

後日インタネットでニコンのカスタマーサービスを覗きにいったところ、Q&Aで「電池交換で日付がゼロに戻る」を見つけた。どうもこれは日付設定などのデータを保持する内部電池が原因のようだ。7年も経てば内部電池がへたっていても不思議はない。時期を見て修理に出さなければならないようだ。

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カードフォーマットトップへ
128MBコンパクトフラッシュサンディスク128MBCF

128MBコンパクトフラッシュを愚痴をこぼしながら、だましだまし使っていたのだが、或る日突然全ての問題が解決してしまった。

それはニコン「D70」用に新しく1GBのコンパクトフラッシュが欲しいとサンディスクのサイトを覗いていた時だった。E900用128MBの用に手間が掛かっては困ると思い「互換性リスト」を調べていると、ニコンのデジカメリストに何故か「D70」が無い。それだけでなく「D100」、「D2H」も載っていないし、肝心の1GBも製品にリストされていない。日付を見ると1年も前のものだ。なんとまあ古いデータとなかばあきれ顔だったが、リスト中に「COOLPIX900」を見つけて眼が釘付けになった。128MBだけてなく256MBまで「動作可」となっている。何故?、私の128MBは外れなのだろうか。

パソコンの傍らに置いてあるE900を手にとりコンパクトフラッシュを入れ、スイッチを「A・REC」廻す。ハングする手順だから、当然のように上部液晶になにも表示されず「ダンマリ」になる。ハングを解除するため電池を取り出し、カードも抜き出しスイッチをいれる。何度となく繰り返した通りE900は活き返りいつもの様に「カードが入っていません」と文句を並べたてている。

いつもならE900専用の128MBコンパクト入れるのだが、何を考えていたのだろうか、D70用の512MBコンパクトフラッシュを入れ、電源スイッチを廻していた。ハングを期待していたのだが、E900はそのまま立ち上がり上部液晶の撮影枚数に「Err」と表示が出て、モニター画面は「フォーマットされていません。フォーマットしますか。」と言っている。初めて128MBカードを入れた時にも「フォーマットされていません」の画面は出なかったし、今まで一度もこのメッセージは見たことが無い。そう言えば、確かこのカードはフォーマットした憶えが無い。

謎めいた思いに駆られながらスイッチを切り512MBコンパクトフラッシュを取り出す。このカードにはD70の画像データを入れたままなのでフォーマットする訳にはいかない。128MBコンパクトフラッシュにも撮り掛けの画像データが入っている。パソコンにデータを移す短い時間も何故かもどかしい。カード無しでE900を立ち上げ、カードを入れる。メニューを操作しフォーマット画面を出し、128MBコンパクトフラッシュをE900でフォーマットする。予想に反しアッと言う間にフォーマットが完了した。

そのままスイッチを廻しオート撮影モード「A・REC」にする。残り枚数「194」を確認し、スイッチを切る。一瞬ためらったが、カードを入れたままスイッチを入れ、上部液晶をじっと見つめる。すっと表示が現れ当り前の様に残り枚数「194」を示し、モニター画面では砂時計が起動中を告げている。しばらくするとモニターに画像が現れ、カードが入ったまま起動が完了した。息を止めたままだったのに気が付き、ふっと息を吐きながら呟いた。「なんだ、フォーマットすれば良かったのか」と。新しいカードはカメラでフォーマットするのが常識なのに、今までの苦労は何だったのだろうか。

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レンズが動かなくなったトップへ
起動画面大きな砂時計を表示して、レンズ
動作待ち中のクールピクス900

ジャンクでで手に入れたクールピクス900は思いも掛けず完動品でラッキーだった。SanDisk128Mコンパクトフラッシュもカメラでフォーマットしたことで正常に認識されるようになり、いよいよ本格的に使い倒そうと意気込んだ矢先に、突然レンズが動かなくなってしまった。

クールピクス900はスイッチを切るとレンズがテレ端に移動して仕舞い込まれ、スイッチをいれると今度はテレ端からワイド端へとレンズが動き、AFが機能して画像が液晶モニターに表示されると起動完了となる。

故障は、どうもレンズがテレ端に仕舞い込まれたまま動かなくなった様だ。スイッチをいれると、いつものように上部液晶パネルに表示が出て、液晶モニターに砂時計が表示されてレンズがワイド端へ動くのを待っている。が、しばらくしてもレンズが動かないのでタイムアウトとなりモニター画面に赤字で「システムエラー」と表示され、同時に上部液晶パネルでも [Err]が点滅表示されている。

これではホントにどうしようもない。一時は気の迷いか、どうせジャンクで購入した物だからと自分で分解して修理出来ないかなどと考え、ネジを2-3本外してみたが分解手順を知っているわけで無し、分解工具も安物の精密ドライバーだけで、ネジの締め付けがきつく、無理をするとネジの頭を坊主にしてしまいそうだと判り、すごすごと元に戻してしまった。

全く何も期待出来ないのに、その後4-5日は、毎朝スイッチを入れてみてはじっと息を凝らして「また、動き始めないか」とレンズを見つめ、「システムエラー」がモニターに表示されるのを確かめては、そっとスイッチを切る日々を過ごした。まるでキリストの復活が目の前で起こるのを待っているかのように。

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クールピクス900入院、そして退院トップへ

ジャンクで購入したE900には、元々不具合があった。電池を外すと、日付が発売年の元旦「1998年01月01日」に戻ってしまうのだ。電池交換の度に毎回日付設定するのは不便なのでいつか修理に出そうと思っていたのだが、レンズが動かなくなり、起動が完了しなくなってしまった。突然動き出すのではと期待し、軽くコツコツと叩いたり、何度もスイッチを入れたり切ったりしたのだが、やはり復活の奇跡は起りそうになかった。

サービスカウンター修理を終えたE900で撮影したサービスカウンタ看板

新宿のニコンサービスセンターへE900持ち込んで修理を依頼したのは、それから2週間ほどしてからだった。動かなくなったジャンク品だが分解してバラバラにしようなどとは何故か思わなかった。ちゃんと写ると分かった時の驚きを憶えていたからかも知れない。ここを訪ねるのは2回目だ。初めて訪れたときも日曜日の昼過ぎでD70ローパスフィルターの清掃を頼み、終るまでの2時間は近くのカメラ量販店で、並べてあったお試し用一眼レフのファインダーを次から次へと覗き、シャッターを切っては音の違いを較べ、カメラ毎のつくりの違いを楽しんだりしたことを思い出した。

サービスカウンターで係りの人に症状を話すと電池とカードが入っているか尋ねられた。「はい」と答える。直ぐに確認できるようにとあらかじめ入れておいたのだ。故障の確認が終わると、修理しますかと尋ねられた。7年も前のすっかり時代遅れになった110万画素カメラの故障を直すのは、もう物好以外の何者でもないのかも知れない。
「お願いします」と告げると係りの人は確かめるように、ほんの少し私を見つめていたが、直ぐに修理代の見積書をつくってくれた。高い物につくだろうと覚悟はしていたが、部品代に修理の工賃を足すと、型落ちにはなるが400万画素の新しいカメラが買えそうな値段だった。ついでに欲しかった使用説明書も購入し、後で家内に修理代の話をすると、たった2000円で買った中古品をそんなにまでお金をかけて直す気持ちが良くわからない、余程気に入ったのかと聞き返され、あいまいにうなずいている自分に気付いた。

CoolPixE900-2r撮影者側を狙うクールピクス900

入院して2週間、E900を受け取りにニコンサービスセンターを訪れたのは、東京では珍しい3月初めの大雪の日だった。

カウンターで預り証を渡すと、「しばらくお待ちください」と言い残して奥の部屋に入った係員が再び現れ、E900がカウンターの上に置かれた。早速手に取り、コンパクトフラッシュをスロットに入れスイッチを入れると、液晶モニターにクルクル回る砂時計が表示され、消えると画像がモニターに現れる。故障が直り元のように起動したのだ。あたりを見回し、目に入った修理受付カウンターの表示板に向けてシャッターを押すと、緑のLEDが点滅を繰り返し画像が無事に取り込まれたようだ。スイッチを切るとレンズをしまい込むモーターの生き物のような僅かな身震いが手に伝わり、上部液晶の表示が消えた。

納品書を貰い修理内容の説明を聞く。故障の原因はレンズと本体のジョイント部組とフレキ部組の痛みで部品交換したとのことである。モニター画面を見ながら自分を写せるせるなど、レンズが270度廻るのがE900の特長だが、この構造が同時に弱点でもあるようだ。

ところで支払いの段になって少しばかり嬉しいことが起きた。実際の修理額が見積りより2000円程安かったのだ。それに、6ヶ月以内に同じ不具合があった場合は修理保証をしてくれるとのこと。再び動くようになったE900を鞄にしまいながら、もう一度納品書をながめると「毎度ニコン製品をご愛用いただきありがとうございます。今度とも、より一層のご愛用をお願い申し上げます。」と書いてある。

いつもなら空々しく響く文言が、なぜか胸にこたえた。ポンコツのE900だが、長年の使用で痛んだ部品を交換し各部の点検をして貰ったことでもうしばらくは元気で動いてくれるだろう。


注記:ニコンカスタマーセンター、サンディスクなどがリンク切れなのでリンクを外しました(2009.02.04)

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