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ピン甘日誌 - 5
 ■ 谷戸山公園/カワセミ 5月14日
ニセアカシア頭上の空を覆うニセアカシア

谷戸山公園に新緑を撮影に出かけたのは、コーミンさんのホームページにアップされた「新緑2005」の何枚もの写真を見て、新緑の鮮やかさが巧みに捉えられていいるのに触発されてなんとか真似事でも出来ないものだろうかとか思い立ったからである。

五月の連休には山口へ帰省し、瀬戸内国立公園の一番西端に位置する笠戸島でカメラを構えた。天候が良く青空に恵まれ、木々の緑と紺碧の空の美しさを写し込もうとシャッターを切り、神奈川に戻ると直ぐに写した写真の整理を始め11日にアップした。自分では新緑の緑が鮮やかだと気に入っていたのだけれど、アップしたその足でコーミンさんのホームページを訪問して「なんかやっぱり違うなあ」と驚き「こういう風に撮ってみたい」と思った。

週末の14日はあいにく曇りがちの天気だったが、初めて訪れる谷戸山公園はアパートから車で僅か15分の近くにあった。駐車場から公園に入ると直ぐに高い木々の間の狭い空を白い房咲きの花が今を盛りと飾りたてている。幹についた名札を見てニセアカシアと知る。名前を知ると、ここににも、あすこにもニセアカシアが、と目に付くのが不思議だった。

雑木林の坂道を下り、空が開けた池の周りに出ると、長い望遠レンズを付けたカメラを三脚に載せカメラジャケットを着た7-8人が池の中央のそれほど遠くない小さな枯れ葦の島に向けて砲列を敷いていた。

水鳥池を漂う水鳥

ところが、全く緊張感が無い。誰もがレンズが狙っている方向は見もしないで、カメラから離れてだべっている。明らかに狙いの主人公が留守のようだ。枯れ葦の島の廻りに目を移しても、小さな茶色をした水鳥が1羽うとうと漂っているだけだった。

何を狙っているのだろうかといぶかりながら通り過ぎ、湿地の上に建てられた野鳥観察用のウッドデッキへと向かう。デッキの上では散歩の途中人が十数人、池に来る野鳥の看板を熱心に読んでいる人、枯れ葦の島を見ている人など誰もが思い思いの方向を見ていた。

野鳥の看板を流し読みして、デッキの中程まで進んだ時だった。「ここにはカワセミが来るそうだ」と、話し声が聞こえる。カワセミが来るのか、するとあのカメラの砲列はカワセミ狙いに違いないと思った。

突然、「あっ、カワセミ」とおばさんらしき叫び声があがった。「ほら直ぐそこの葦の茂みに飛んで入ったわ」と同じ声が続く。急いで池の方に向き直る。「ほら、ほら、そこの茂み」と指さす方向をデッキ上の人が皆一斉に目を懲らしてじっと見つめたが鳥らしき姿は何も見えない。

どうも目撃者はおばさん一人のようだ。何も見えないので騙したようで分が悪くなったと思ったのだろうか、「あちらから飛んできて、ホラ、そこに入ったの」と大きな身振りでカワセミの飛行ルートを空に描いて熱心に説明するが何も起きなかった。

暫くして、誰もが焦れて枯れ葦の茂みから目を離し、てんでの方向に向きを変えようと動き始めたその時、輝く緑色の小さな稲妻が枯れ葦の茂みから飛び立ち、身を翻して対岸の木の茂みへと、誰もの心に「あっ」という小さな叫びを残して、姿を隠した。空飛ぶ緑色の宝石「カワセミ」を初めて目にした瞬間だった。

クヌギとコナラの雑木林は木々が高くそびえ薄暗く肌寒い位だった。時折日差しが緑の葉を透かして遊歩道にこぼれてくる。散歩する人は少なく、時たますれちがうのは、土曜日で会社が休みだからだろうか、中年過ぎの夫婦と見て取れる2人連れが殆どだ。スニーカーにスウェットスーツで足早に言葉を交わしながら歩いている。

近頃は万歩計を付けて出かける様にしている。三脚を肩に担いで、公園を一回りすると3000歩位、距離で2km弱というところだろうか。丁度良い散歩にもなった。

駐車場に戻ると、池の周りでカメラを構えていたグループと出会った。時間も5時近くなり今日はお終いと引き揚げてきたのだろう。あの後カワセミは何度姿を現したのだろうか。誰か会心の瞬間を物にできた人がいただろうか。道具を仕舞い込み短い挨拶を交わして駐車場を後にする車が出払った後、私も公園を後にした。

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